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第十五回 池田憲章の特撮研究
6月4日の講座について池田憲章さんの書下ろしです。

第十五回のテーマは日本の現代特撮を支える技師集団

TV特撮の「流星人間ゾーン」「日本沈没」から東宝の特撮映画「日本沈没」「ノストラダムスの大予言」「ゴジラ」(1984)「ゴジラ対キングギドラ」他、「ゴジラ/ファイナル・ウォーズ」の特撮カメラマンだった桜井景一さんをゲストに、オプチカル合成の時代からデジタル特撮のCGI映像の今日までの技術的変化、発生している問題点についてを話していただいた。大作映画だった「日本沈没」(1974)の中野昭慶特撮監督の直筆の絵コンテを見ながら、特撮シーンを解説。前半の山場になる潜航艇わだつみが出会う海底の乱泥流の特撮シーンの説明では、スモークをグレーにする工夫、ワイヤー消しの作業、海底のシワ状のトラッド・パターンの作製が大変だったこと、小プールとステージにスモークをたいて海中にみたてた水中シーンの映像設計、ドラマ部分のわだつみの船内セットのせまさをワイドレンズを使わずにうまく出している撮影テクニックに感心したことなど、カメラマンならではの視点を教えてくれた。

年末12月に公開される東宝、日本テレビの新潟の地震現場を題材に、愛犬が飼い主の老人と子供を助けた実話を映画化した作品で、東宝映像美術が特撮シーンを担当、6分の1サイズで崩れていく山崩れや実物セットと同じ民家、2分の1サイズで作られた小学校の内部をCGにたよらないミニチュア特撮の実在感を強く出した特撮をメイキング映像、テスト撮影で解説。東宝撮影所の第1ステージで約1ヶ月、新鋭の清水ディレクターが演出、桜井景一カメラマンが撮影を担当した。「緯度0大作戦」(1969)のミニチュア操演シーンを見ながら、桜井さんは「スタッフから聞いたんだけど、この水中シーンはミニチュアを撮影した後、全てのフィルムを巻き戻して、光のモジュレーションを仕掛けた水槽をダブラして撮影、光が上から入っている水面のキラメキをつけ加えたという。全カット明るさが統一されていて、とても高度な技術。失敗すればそのカットはだいなしな訳で、今やれるかというと考えてしまう。こういう技術が円谷英二さんはすごい」と話されていた。

撮影パートの仕事で、助手のチーフが露出を担当し、セカンドがフォーカス・マン、サードが機材とフィルムの管理、フォースが全体のアシストとビデオ・モニター(ビジコン)の操作とそれぞれの役割があり、その中で撮影テクニックを学んでいく。ビデオ撮影の場合、まったくこれが変わって、助手がビデオ・エンジニアで画面と画質をチェック、次がキャメラ・アシスタントと呼ばれ機材運び、その下は音声のチェック(これはドラマ部分)と助手の仕事自体が変わってしまうという話にはびっくりしてしまった。

TV特撮「超星神」シリーズでは、操演は外部の亀甲船(映画平成「ガメラ」3部作や「ウルトラマンティガ」「ダイナ」「ガイア」から「マックス」まで全てを担当)が手がけ、ワイヤーの吊りから火薬、噴射の特殊効果を担当すると解説した。現実の特撮の撮影現場の特撮スタッフの配置、動きが少し判ってもらえただろうか。

〈配布資料〉
「宇宙船」2000年 92号 「日本特撮2000 撮影監督の特集記事(インタビュー・構成・池田憲章)」
by smallschool | 2007-07-17 19:20 | ★池田憲章の特撮研究
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