第十回 池田憲章の特撮研究
2月26日に行われた池田憲章の特撮研究の様子をお伝えします。全20回のこの講座もようやく前半の終了です。(第九回は変則で11月22日に行いました)

第十回のテーマは 円谷英二の特撮宇宙10本

今回はなんと『ゴジラ』のDVDを見ながら、池田さんが自らが書き起こしたカット割りが配布資料として配られました。
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カット割りから演出が見えてくる。DVDを買って安心しないように!
技法と技法に隠された意味を読み解く、それが映画を読むということだ。



■『ゴジラ』
池田さんが書き起こしたカット割をもとに。
ゴジラの圧倒的な大きさ、破壊力を示すためのライティング、カットワーク、マットアートを読み解くことができる。ゴジラの破壊力を一気に見せ付けるのではなく、少しずつ段階を追って出すことで、恐怖心をあおる演出をしている。また全長50mのゴジラの全身にサーチライトがあたるわけがない、という考慮から、腹にスポットで光を当てるため、ライトに覆いがかぶされているなど、大きさをいかに魅せるか?へのこだわりが読み取れる。

■『ゴジラの逆襲』
ゴジラの破壊に伴う炎が主役となっている。ミニチュアを使った特撮シーンと本編をつなぎ合せることで、現実にはとても倒れそうもない消防車が軽々と吹き飛ばされる様子が自然と描かれ、ゴジラの強大な破壊力が示されている。

■『空の大怪獣ラドン』
本編と特撮シーンのカラーマッチングが素晴らしい作品。『ゴジラの逆襲』とは反対に、こちらでは炎は余韻としてしか使われていない。操演シーンが見せ場の作品。

■『地球防衛軍』
光線の形を兵器の火薬の種類ごとに変えているなど、光線の進化がよくわかる作品。地上と空をいかにつなぐか?ということが課題だった。

■『宇宙大戦争』
伊福部さん作るのマーチのリズムは、戦闘シーンをますます盛り上げていく“エフェクト音楽”の役を果たしている。『ラドン』から続いてきた操演のレベルアップが良く見れる。宇宙における操演は、その後のスターウォーズ、マクロスシリーズへと続いていくことになる。

■『太平洋の嵐』
山間を通りぬける戦闘機の隊列、飛行機が通り過ぎたあとに揺れる地上の木々、など最高の操演技術が見られる。

■『フランケンシュタイン対バラゴン』
人間の視点が常に意識されている。横長のシネスコサイズの画面をうまく利用することで、25mの巨人の大きさを表現している。

■『キングコングの逆襲』
ミニチュアの町並みの中にブルーバックで撮影された本編の人間が入り込んでくるなど、特撮と本編の位置づけが逆転したかのようなカットが含まれる。また、ぬいぐるみ技術の上限に挑戦した作品。やはりシネスコサイズの画面で、東京タワーを‘なめ’ではなく‘フィックス’で撮ることで、その大きさを表している。

■『ウルトラQ 鳥を見た』
ヒッチコック的ともいえる恐怖の盛り上げ方をカットワークにより演出した作品。

■『ウルトラQ ペギラが来た!』
ペギラの巨大な羽に煽られ、人間が宙を舞うシーンでは、カメラを入れてぐるぐる回せるドラムのような装置が使われている。

■『日本海大海戦』
飛行機がない時代設定のため、海と船がすべての要素となる。そのため構図が限定され、ほかの円谷作品に比べると1カットが短いことがわかる。時にはプールの外に船を設置することで前後の奥行きを、水柱を高々とあげることで縦の奥行きを演出した作品だった。

円谷英二は、常にそのカットが何のためにあるのか?を念頭に考えた人で、決して構図をなぞっただけのカットをつなぐようなことはなかった。時には本編の監督と、互いの編集したシーンが気に入らない!と編集フィルムを切りあったこともあったようだ。彼は常に探究心を忘れずに新しい技術の開拓、向上に熱心に取り組んだ人だった。
これから映画をつくる人は、昔に比べれば簡単にほしいシーンが作れてしまうかもしれない。しかし、そこに意図はあるのか?本当にそのカットは必要なのか?これからの映画シーンにおいても円谷英二のような姿勢は絶対に必要なものだ。

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今回で「教養篇 知っておきたい特撮映画・TV50選」が終了しました。
少々間が開いて次回、4月9日(月)からは、「現在の日本特撮 各回スタッフ関係者を招いてのトークショー」が始まります。4月には、アート・アニメーションのちいさな学校もいよいよ開校です!
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by smallschool | 2007-03-02 12:27 | ★池田憲章の特撮研究
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2007年4月開校までの道のりをつづっていきます。

【アート・アニメーションのちいさな学校HP】

↓開校してからの学校日記です↓
【アート・アニメーションのちいさな学校だより】
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