古川タクワークショップ
1月20日に行われた古川タクさんによる様々なアニメーション手法ワークショップの様子をお伝えします。

13:00 ~ 14:40 製作秘話、トーク
14:40 ~ 15:00 休憩
15:00 ~ 16:30 驚き盤ワークショップ
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作家としてアニメーションを作り続けているタクさん。
教鞭をとられている東京工芸大学では、日々学生と接し、新しい感性の誕生を見守り続けてきました。
そんなタクさんだからこそ、気づいたこと。いま、そしてこれからアニメーションを作る人々へのメッセージが伝わってくる内容となりました。

1.アニメーションと音楽
2.フィルム時代の潔さを
3.“表現”としてのアニメーション



1.アニメーションと音楽
音楽はアニメーションの要素のうち50%を占めるくらい重要なものだと思っている。
大概の映像は音がつくと、よく見えてしまうが、ここが落とし穴で、もっとひとつひとつの音に神経を配ってつけていくべきなんだ。
映像とすんなり合う音楽ではなく、どこかひっかかるようなものにしたほうがよい。音と画像が衝突しあう中で何かがかみ合ったとき、生まれるものがある。
理想は自分で音をつけられたらいいが、音楽家の方との話し合いの中から、新しい見方が発見できるのも楽しくて好きだ。
「僕なんか、嫌われちゃうくらい結構口出ししますよ」とタクさん。若いころは自分の足で、絵に合うレコードを探し歩いていたそうです。

■『鳥』
音楽:藤原直江さん
和風の音楽をつけたい、というタクさんの要望のもと、話し合いの結果三味線を使うことになった作品。

■『ポートレイト』
音楽:長谷川龍さん

■『上京物語』
音楽:本多俊之さん
若い頃はわからなかった小津映画のよさを、自分も子供をもつようになった40歳頃になって知り、自分なりに小津映画を消化、再解釈して作った作品。
「昔のイタリア映画のような…」「ストーンズ風に…」といったタクさんの要望に本多さんが応えた作品。本多さんは伊丹十三の監督作品で『マルサの女』などで音楽を担当されています。
「絵がふにゃふにゃである分、SE(効果音)はリアルなものにしたんです」効果音をつい軽視してしまいがちになるが、効果音はアニメーションのとても重要な構成要素だということを忘れないでおこう。

■『TokyoLoop』
音楽:山本精一さん
山本さんの音楽に16人の作家が集って「東京」をテーマに作ったオムニバス作品。
かつての草月会館で行われていた上映会のような、一本一本印象が全然違う、そんな作品をまた作りたい、というコンセプトのもと、アニメーションとは関係のない分野の人にも協力を依頼し、作りあげたもの。

2.フィルム時代の潔さを
フィルムで撮影していた頃は、ラッシュが仕上がるまで最低でも中1日はかかる。失敗を簡単には取り戻せない状況で製作せざるをえなかった。最初から全体の仕上がりを念頭に入れて作業をしなければならなかった。
現代ではパソコンの中でいつでも完成形が確認できる。しかしその分修正に限りがなくなってきている。完成度は上がってきているが、フィルムの頃のような潔さが失われつつあるのではないだろうか?
完成度が高い=おもしろい作品 とは限らない。

3.“表現”としてのアニメーション
アニメーションのスキルを身につけるのと、自分の表現したいものを見せるスキルを磨くのは、別々のことだ。作家になるならば、後者のスキルの方が大切になってくる。今の時代に生きる今の自分たちが考えたことを表現すべきだ。今の年齢で、いまもっている最低限の技術で、表現できることがある。背伸びせず、飾らずに、ストレートに今、感じてることを出そう。
「画力ではなく画面力という言葉を僕はよく使うんだ名作ではないけれど、画面に人を吸いよせる力、それが大切なんだ」

作品紹介例
『ハーヴィ-ー・クランペット』
特別魅力のあるキャラクターというわけではない。名作というわけではない。しかし、シナリオがいい。どこか、画面に力がある。画面力のある作品
『おはなしの花』
第10回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞
背伸びしていない表現が気持ちいい作品。
『ラビット』
イギリス ラン・レイク


後半は、驚き盤のワークショップです。
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タクさんといえば驚き盤!ですね。型紙にあわせて、まずは台となるスリットの入った円盤を切り抜きます。イラストボードが厚くて皆さん四苦八苦しておられました。その中には見覚えのある姿も…
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真賀里さんと野中さんです。
「タクさんのワークショップを受けたくて来ちゃいました」とのこと。

驚き盤とは、フェナキスティスコープともいい、ベルギーのジョエセフ・プラトーが1833年に考案した映像装置です。人間の目の残像現象という効果を利用して、止まっているはずの絵が動いたかのように見えるという単純な装置なのですが、単純であるからこその面白さがある、現代でも様々なアーティストに愛されている装置です。

この方も夢中です。
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「単純で手軽、これが驚き盤の魅力だよね」
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その昔、タクさんは巨大な驚き盤やゾートロープ(驚き盤を筒状にしたもの)を作っては街中でまわしたこともあるそうです。しかし「こんな大きいんだから、動いて当たり前だよ」なんて反応が返ってきたこともあったそうで。やはり、単純で手軽な仕組みであっと驚かせてくれる、ここが驚き盤の魅力のようです。

ようやく、型紙を切り終えたあとは、タクさんが持ってきてくださった絵を貼り付けて、動かしてみたり、自分たちのオリジナル驚き盤を作成しました。


ところで、驚き盤て鏡に映さなくても、見れるんですよ!
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お互いに覗きあうと、動いて見えるんですね。これはおもしろい!

自らも驚き盤を作成しつつ、受講生の皆さんと本当に楽しそうに触れ合うタクさん。
今回、タクさんのワークショップを通じて一番よく出てきた言葉は「楽しい」「好き」「おもしろい」だったかもしれません。作家としてアニメーションをつくるタクさんの視点が少しでも皆さんにお伝えできていたら幸いです。

さて、次回の様々なアニメーション手法ワークショップは大地丙太郎さんの登場です。
1月27日(土)、パワー全開のアニメを次々に作り出す大地さんからどんなお話しが聞けるのか、とても楽しみです。
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by smallschool | 2007-01-20 16:30 | ★様々なアニメーション手法
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2007年4月開校までの道のりをつづっていきます。

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