第六回 池田憲章の特撮研究
1月15日(月)に行われた第六回池田憲章の特撮研究の様子をお伝えします。

第六回のテーマは 映画史上の傑作10本とTV10作品(前編)

昨年は5回に渡って入門篇をお送りしてきました。
本年はいよいよ、教養篇:知っておきたい特撮映画・TV50本の開始です。
特撮がもつ表現の幅の広さが伝わるように、と選ばれた50本です。

MEMO・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
プロダクションデザイン、トータルデザインという概念の重要性
美術は時として特撮以上に画面のイメージを決定付けるものである。『007』シリーズのケン・アダムスは、映画全体の方向性を美術の観点から決定していったプロダクションデザイナー。
日本の場合、このようなトータルデザインを行う人が本編側でなかなかでてこない。成田亨さんがはじめて特撮の美術から本編まで含めたトータルデザインを行った。

最近では、アニメーションの方が美術によるトータルデザインの力強さがある。

CGが多用されるこれからの特撮の課題は、まず自分のつくりたいものをどのようなスタイルでつくるのかはっきりさせるということだ。リアル=ベストではないという自覚を持つことが必要だ。




■『バケルノ小学校』
NHK毎週金曜9:00~9:15放送。児童向けの人形劇。
一流の脚本家、人形師、声優陣がそろい、美術的にも学校の壁がガウディの建築を思わせるような作りであったりと、大変魅力的なものに仕上がっている。『ひょっこりひょうたん島』に並ぶ質の高い人形劇である。空を飛ぶをシーンではクロマキーが使われていたり、人形の表情の作り方など、特撮の観点からも人形劇のもつ力を感じられる作品である。

■『カリガリ博士』
夢遊病患者のチェザーレをカリガリ博士が操る、ラストにはどんでん返しが待つサイレント作品。
ドイツ表現主義に多大な影響を残した作品。第一次大戦後のドイツの不安感が表現されている。

■『メトロポリス』
未来の世界において地下で働く労働者と、地上の支配者との攻防を描いた作品。未来の世界が描かれた美術的に大変見所のある作品である。サイレント。

■『フランケンシュタイン』
トーキー映画の初期の作品。サウンドで観客を恐怖に追い詰めていく演出の極意。特殊メイクの金字塔でもあり、2002年の「ベストメイクアップ50」の1位にもなっている。

■『赤い靴』
劇中劇を描いたバレー映画。映像と音楽だけで幻想の世界を築き上げていく、オーバーラップを非常に美しく使った作品。美術監督のハイン・ベックロースは、それまで衣装の経験しかなかった。まずイラストを描き、それをもとにカメラマンが17分ほどのパイロット版を作成。このパイロット版をもとに音楽家が実写になった画面を想定し、作曲した。アカデミー賞美術監督賞受賞。

■『鳥』
恐怖のシーンへと盛り上げていくテクニックが、ヒッチコックの中でも、もっともすばらしく描かれている作品。背景・人・鳥と幾重にも重ねられたマットアートの極意。ヒッチコックの描く映画には特有の色合いがあり、それは簡単に描き出せるようなホラーではない。
若い人々は、心理描写を描き出すヒッチコックのカット割の方法を学ばなければならない。

■『十戒』
海が割れるシーンの合成技術には目を見張るものがある。水の表現、炎の表現がすばらしい。

■『2001年宇宙の旅』
本編と特撮、双方の行き来の間にまったくパワーの差がない、特撮と人間ドラマのカットが初めて融合した作品。宇宙をただようシャトルやステーションを回り込むカメラのスピードは人間の生理的スピードに一致しており、ワルツにあわせ、宇宙空間を漂い、踊っている。キューブリックは特撮を映画の一部として消化しきった人である。本編と特撮が、木と竹をつないだような映画ではいけない、というこれからの特撮の出発点である。


これからの特撮映画の課題として―プロダクションデザインという観点から映画を作っていけば、特撮は描きようによっては人間ドラマ以上にドラマチックな演出を可能にするはずである。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今回の講座では冒頭に、昨年11月にお亡くなりになった実相寺昭雄監督への追悼を述べられました。

『ウルトラシリーズ』の演出で知られる実相寺監督だが、彼は特撮の演出を情感のレベルまで引き上げた方だった。実相寺監督の絵コンテは、スタッフのイマジネーションを誘発する絵コンテであった。押井守監督など多くの人に多大なる影響を与えた本当にすばらしい監督であった。ご冥福をお祈りします。

池田さんが書かれた追悼記事がのってます。
 ■ちくま 1月下旬号
 ■COMIC リュウ 1/20発売号

また、2月25日に徳島で行われる講演会でも実相寺監督について語られる予定です。
 2月25日 14:30~
 徳島県の北島町 町立図書館創世ホール
 『故郷は地球~脚本家★佐々木守がめざしたもの』
詳しくはこちらを御覧ください。

お知らせ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2月にフィルムセンターにて円谷英二監督の『海軍爆撃隊』が放映されます!大変貴重なフィルムです。この機会にみなさん、ぜひ御覧になってみてはいかがでしょうか?
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by smallschool | 2007-01-15 23:00 | ★池田憲章の特撮研究
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