保坂純子ワークショップ
保坂純子ワークショップ

12月10日(日)開校記念講座「様々なアニメーション手法ワークショップ」保坂純子さんの回が開かれました。

数々の作品の人形製作を手掛けてきた保坂さんのお話を直接お聞きできる貴重な機会、会場である学校の地下劇場には多くの方々がご参加くださいました。
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13:00〜14:00 上映&解説
14:00〜14:30 休憩(人形に触らせていただきました)
14:30〜16:30 上映&解説

60年代、アメリカとの共同製作として始まった『ピノキオ』のため、8班120人ものスタッフが集まりました。

この『ピノキオ』の製作現場こそが、保坂さん、真賀里さん、及川さんなど、のちに多くの素晴らしい人形アニメーションをつくり出すスタッフが「仲間」として出会った最初の場所でした。
保坂さんは、はじめ人形座という人形劇の劇団で人形を作られていました。しかし、人形アニメーションに出会い、「カメラとは、こんなにも素材を浮き彫りにするものなのか」という強い衝撃から「カメラの写し出す素材のマチエールのすごさ」に見入られた保坂さんは、アニメーションのための人形作りの道を歩みはじめられたそうです。「いつでも素材のことを頭に入れておくのは、美術家として大切なこと」と語られる保坂さん、本当に様々な素材で多くの人形を作ってこられたことが、ひとつひとつの作品と、それに添える愛情溢れる保坂さんのお話から伺えました。



上映作品と解説
■『おじいちゃんが海賊だった頃』(1968/3'51/木彫)
『ピノキオ』を終えた岡本忠成さんを中心に作られた作品。
ディズニーのようななめらかな動きではなく、日本らしいアニメーションを作ろう!というコンセプトのもと、荒々しい木彫の人形が作られました。あえて動く箇所をおさえた人形を動かすことで表情を作りだしています。人形の材料にはラワンという安い木材が使われており、浮き出る木目がそのまま日に焼けた海賊の肌になっています。
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■『ホームマイホーム』(1970/3'47/ペーパークラフト)
1964年に東京オリンピックが開かれ、日本は「一家に一軒、マイホームを目指そう!」という活気に溢れた時代でした。と同時に公害問題などが次々に浮かび上がってきた時代でもあります。皆で意見を出し合って、当時の時代背景を反映させた作品とのこと。

■『モチモチの木』(1972/16'51/和紙)
保坂さんが幼い頃から集め続けてきた千代紙や和紙を活かして作られた人形が、同じく和紙によって作られている背景と溶け込んだ、素晴らしい、幻想的な作品です。
和紙で作られた人形の関節の秘密は、ヒューズという針金のような金属です。
「最近はなかなか手にはいらなくなっちゃったけど、電気のメーターの部分なんかによく使われていたのよ」と話す保坂さん。ヒューズは、ほかにも様々な素材の人形の関節に使われているそうです。
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■『南無一病息災』(1973/17'40/板木)
病気の「ひろこ」に語りかけるお話しにどんなものを使ったらいいだろう?と考え、お話自体が“祈り”の内容であるということから、素材のモチーフに絵馬を使おうと考えられたそうです。木の板に、胡粉というニカワを溶かしたものを塗り、その上に水彩で色をつけられた反立体の人形が作られました。

■『あれはだれ?』(1976/21'13/毛糸)
染色した毛糸にヒューズを仕込み、自由自在に形を固定できるようにして作られた人形。一本の毛糸を曲げることでこんなにも表情豊かな動物たちができるのか、感嘆してしまう作品です。今回は『あれあはだれ?』に使われた人形もお持ちいただき展示させていただきました。写真が残ってなくて申し訳ありません!

■『小さな五つのお話』より「かくれんぼ」(1974/7/布)
出稼ぎに出た父親を待つ幼い兄弟の話。東北の寒い冬の家の中で仲良く父親を待つ兄弟の様子が、布の温かさを通じて存分に伝わってきます。

■『おこんじょうるり』(1982/26'13/張り子)
日本を代表する人形アニメーションの名作。
張り子による愛らしいフォルムのおばあちゃんとおこん、今回はこの二人も会場に連れてきてくださいました。
おばあちゃんは張り子で、おこんは稼動部分は布で作られています。威勢よくじょうるりを歌うおこんの口元もやはりヒューズが用いられているそう。とても小さな人形とはいえ、遠景を撮るために作られたセットは、ちょうど地下劇場の半分近い大きさのものだったとか。アニメーターはセットの下にもぐっては動かし、撮影、という大変な作業だったそうです。
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「常に日本的なものとは何なのか?」と考え続ける保坂さんがつくり出す人形はみな、とても愛嬌があって愛らしい人形たちです。しかし保坂さんは完成した人形は作らないそうです。「完成した人形だとそれで終ってしまう。アニメーターが心を入れ込めるような人形をつくりたい。いろんな動作のできる、可能性を含む人形を」

人形アニメーションの製作はチームで行うもの。チームの中に一人でも作品を作ろうという姿勢を持てない人がいてはダメ、チームワークあってこその製作だからこそ、互いの力を最大に引き出しあうような、保坂さんの人形は愛され続けるのでしょう。


さて、次回の「様々な手法ワークショップ」は保坂さんと長年タッグを組んできた人形アニメーター真賀里文子さんがいよいよ登場です。12月23日(土)アート・アニメーションのちいさな学校教室にて、いつでも活気溢れる真賀里さんがどんなお話をしてくださるか、とても楽しみですね。
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by smallschool | 2006-12-10 12:47 | ★様々なアニメーション手法
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2007年4月開校までの道のりをつづっていきます。

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