11月22日(水)、第9回池田憲章の特撮研究がザムザ阿佐谷にて開催されました。
(こちらは只今開催中の第7回ラピュタアニメーションフェスティバル2006のイベントの一貫として行われたものです。特撮研究は、11/13に第4回、11/22に第9回、11/27に第5回と続きます)
この日のテーマは
「人形アニメの宇宙」
アニメーションフェスティバルの開催と合わせ、ザムザ阿佐谷にも多くの方がお越しくださりました。
会場にはEPSONさんのご協力により巨大なスクリーンが張られました。大きなスクリーンで見ると、より作品の良さが伝わってきますね。
さあ、本日もたっぷりと池田節をお聞かせ願いましょう!
デザインワークの力をみるには、立体アニメーションをみることだ———ということで『キング・コング』から『おこんじょうるり』まで人形アニメーションの世界のデザイン要素について、お話しいただきました。
MEMO・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
人形アニメーションは底知れない、無限の枝葉である。
人形アニメーションは世界全体を設計できる。世界をどうつくるか、それがデザインワークである。デザイン化された世界において、演出(表現)もそれに一致していなければならない。
人形アニメーションの世界の中心は人形だ。人形はフォルムと演技によって定義付けられる。素材がそのまま表現に繋がる人形アニメーションにとって、手法の選択は世界観の方向性と直結する。
・ハリーハウゼンは、架空のクリエイチャ−を数多くつくり出したが、そのどれもがキャラクターづけを前提としたフォルムをしている。
・岡本忠成は民話的な素材を生かしてモダンな演出をしている。たとえば『南無一病息災』は板の上に絵を描き、半立体にすることで、絵本的な平面であると同時に奥行きのある世界をつくっている。素材に絵馬を生かすことで、表現とデザイン技法を一体化している。
・『おこんじょうるり』の張り子人形は、キャラクターのフォルムである以上に、演出を決定づけている。
...etc
さらに、アニメーションとは演技である。その人形が何を考え、どのような仕草でいかに行動するか?日常からいろいろなスタイルや演技を見る事が大切だ。
人形アニメーションは小さなステージの中で無限の広がりを見せられる。“世界をデザインする”という点においてこれほど優れた手法はない。そこで
頭の中の世界をただ取り出すのではなく、どのように定義付けて表現するか?が重要になってくる。CGも人形アニメーションのデザインワークを吸収すれば、もっと表現の幅が広がってくるはずだ。作品をただ見るのではなく技法的に見て、自分の表現として取り込んでほしい。
配布資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■STARLOG [DECEMBER 1977 number 10 p.53〜56]
レイ・ハリーハウゼンへのインタビュー記事
■STARLOG [APRIL 1979 number 21 p.65〜70]
特撮特集 第16回 デビッド・アレン(ストップ・モーションアニメーター)
■STARLOG [JUNE 1978 number 14 p.20〜25]
ジム・ダンフォース特集
■STARLOG [JUNE 1978 number 14 p.28〜33]
ヴァージル・フィンレイの幻想画について
左の写真は『アルゴ探検隊の大冒険』に出ていた竜骨戦士のモデルです。
現代では、架空のクリエイチャ−にはCGが用いられることが多いですが、立体アニメーションを学んだうえでのCG作成はひと味もふた味も違うものとなりそうですね。
次回は第五回「特撮の限界をみつめて」は、11月27日(月)アート・アニメーションのちいさな学校地下劇場にて開催です。
今回のラピュタアニメーションフェスティバルでは、人形アニメーター真賀里文子さんの特集企画・展示があります。こちらの方もぜひ参加してみてはいかがでしょうか?